ユーロ/円とポンド/円、ポンドの方が分はあるが円の動向に注意

ユーロ/円、ポンド/円の上昇は一時的

ユーロ/円、ポンド/円は、予想以上に米中協議が進展したことから投資家の安堵感が広がり、円を売る動きが先行しました。ユーロ/円は165.216円、ポンド/円は196.411円まで上昇しました。もっとも、米韓高官が為替政策について協議したとのニュースが伝わると（後に別のメディアは「米政府は貿易交渉の一部としてドル安を模索してはいない」と伝えている）、連想的に円安是正への警戒感が強まりました。

また、一部報道によると、米国は日本との貿易協定の見直しを視野に入れ始めたものの、協議の難航に伴い企業業績への影響が懸念されているため、ユーロ/円は162.45円付近、ポンド/円は193.02円付近まで下落しました。（各レート水準は執筆時点のもの）

www.youtube.com

※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。

米欧交渉は長期化の様相

欧州連合（EU）は、米国との通商交渉が決裂した場合に、おおよそ1000億ユーロ相当の米製品に追加関税を課す方針を示しています。米中が報復合戦を繰り広げたときのような過熱感は見られないものの、米欧の距離が縮まっているようには感じられません。来週に新たな進展があればいいのですが、トランプ米大統領がEUについてこのところほとんど触れていないこともあり、米欧の交渉は長引きそうな状況と考えます。関税協議の進展が見通しにくいため、ユーロ圏の低成長が続く可能性からユーロの上値の重さが増しているように感じられます。

また、英国では消費者物価指数が発表されます。結果を受けて次回の利下げ時期と期待される7月への思いかが高まるのか、それとも後退するのかが注目されます。もっとも、直近発表された失業率や1-3月期成長率を踏まえると、利下げ時期の前倒し観測よりも後ずれ観測の方が高まりやすいように感じます。そのため、ポンドは対ユーロを中心に、全体的に底堅い推移が当面続くのではないかと考えています。ポンド/円は円相場次第で下げ幅を広げる危険はありますが、英国の段階的な利下げ期待から下値も限定されるのではないかと考えています。

ユーロ/円、ここが踏ん張りどころ（テクニカル分析）

ユーロ/円のチャート形状は上昇チャネルに沿って上向きの動きが期待されると考えられますが、超短期的には、日足一目均衡表・転換線の上昇が一服し、上向きの勢いが後退している様子が窺えます。目先、チャネル下限が推移する162.35円レベルを維持できるかどうかが着目されますが、ここを下抜けてくるようなら、200日移動平均線が推移する161.44円レベルまで下げて、一目均衡表・雲のサポート力を確かめに行く可能性がありそうです。支持線付近の大台となる162.00円を割り込んだ場合は、売りで追随したいと考えています。

また、ポンド/円は予想以上に上振れしたものの、昨年10月高値の199.805円から伸びる下降トレンドラインに上値を抑えられ、調整の流れが進んでいます。しかし、4月9日安値の184.381円を起点とする下値支持線の効果も期待され、192.40円付近では下押しの動きがいったん緩和する期待があります。同水準には200日移動平均線も推移しています。ただ、ここを割り込むようなら、21日移動平均線や4月9日からの上昇幅の38.2％押しのレベルである191.80円付近や同50％押しとなる190.40円レベルまで下落する可能性があります。慎重に押し目を買っていきたいと考えています。