無理に取引するよりも「しのぐ相場」として捉え、次の大きな動きに備えておく 【明快！テクニカルレビュー】
動画配信期間：公開日から3カ月間
動画解説
相場分析ポイント解説・通貨ペア分析
全体的な相場状況
対円通貨ペアは先週前半に上値を追う場面があったものの、「線香花火」のように一時的な動きで終わってしまった
マーケット全体が冷静になり始めており、円に対する過度な反応が落ち着きつつある
株式市場が順調に回復している一方で、FX市場は弱含みで見通しが立てにくい状況が続いている
全体として方向感に乏しく、トレーダーにとっては判断が難しい相場環境となっている
個別通貨ペアの詳細分析
ドル円
先週月曜日に長期移動平均線を超える上昇があり一時は強気を誘ったが、その後は失速して下落
多くのトレーダーが高値圏で買いポジションを持ってしまい、損失を抱えている可能性がある
長期移動平均線は下向き推移、中期移動平均線は右上がりで、実体線はその間で窮屈な動きになりそうな状況
MACDは0ラインを超えた後に横ばい状態となり、明確な強弱感を見出しにくい展開
チャートが完全に反転したわけではなく、現状では様子見が妥当
ユーロ円
火曜日まで上値を追う動きを見せていたが、水曜日から連続陰線で下落
ドル円よりもさらに「質が悪い」展開で、強いと思わせておきながら急落するパターン
3本の陰線が連なったものの、まだ「売り」と判断するには早い
5月上旬の安値を割り込むようなら売りの展開も考えられるが、現時点では判断保留
デッドクロスを形成しているが、これは高値圏の調整局面で通常起こる現象であり、極端に弱いチャートとは言えない
短期・中期の移動平均線は横ばいから下向き、長期は上がり気味でドル円と似た展開
ポンド円
中期・長期移動平均線がゴールデンクロスを形成したところで実体が上値を追った場面があった
買いポジションは「持っていれば持っているほど損が大きくなる」状況なので、早めに手仕舞いすべき
ただし、チャート自体は「売り」とは言えない中途半端な位置にある
3月～5月の取引価格帯で見ると、下落したとは言え依然として上方に位置しており、下落余地はまだある
ユーロ円と比較すると、ポンド円はまだ「のびしろ」があり、下落余地が大きい
豪ドル円
長期移動平均線を大きく抜けてきたが、その後の動きは上昇を否定するような展開
金曜日は小陽線で踏ん張ったものの、全体としては弱い印象
他の対円通貨ペアと同様に明確な「売り」のシグナルはないが、「買い」とも言えない中途半端な状況
ユーロドル
月曜日の陰線で下落するかと思われたが、火曜日に陽線で戻し、その後は明確な方向感なく推移
水曜日は上髭を伴って高値圏から跳ね返される展開となり、弱さを見せた
木曜・金曜日は短い実体の陽線・陰線で大きな動きはなく、方向感に乏しい
先週の安値を下回って引けるような動きがあれば、打診的に売りでエントリーできる可能性
特に水曜日の上ヒゲを伴った終値の形状が気になる要素だが、週明けに簡単に戻す可能性もある
ポンドドル
1.33付近をセンターに上下動を繰り返すだけの展開で、明確な方向感がない
長期移動平均線は上向きで推移しているため、技術的には「弱くもない」状況
しかし買うならば、先週水曜日の高値をしっかり超えてからの方が安全
チャート上に明確で鮮明なシグナルが出てからのエントリーが望ましい
豪ドル米ドル
陰線・陽線が交互に出現し、予測が極めて困難な「当て物」のような相場
0.64をセンターに上下動を繰り返すだけの展開
日々の値動きが異なり、方向性を読むのが難しい状況
市場環境の考察
関税が1日で100%以上上下するような相場環境で、ファンダメンタルズを読むことは極めて困難
ファンダメンタルズがベースとなっているFX市場も方向感を失い、どちらに動くべきか分からない状態
市場参加者が減少傾向にあり、思惑による価格操作が難しいことに気づいた参加者から取引を控える動きも
その結果、価格変動の収束感が高まっている
結論と今後のトレード戦略
現在は難しい相場環境が続いており、無理に取引することで体力（資金）を削られるリスクがある。むしろ、来るべき明確なチャンスに備えて体力を温存する時期と考えるべきだろう。特にS&P500の買いが相対的に有望だが、FX市場は方向感に乏しく、様子見が賢明である。明確なシグナルが出るまで耐えることが重要だ。現在のような相場では、無理に取引するよりも「しのぐ相場」として捉え、次の大きな動きに備えておくことが賢明な戦略と言える。
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井上義教 氏株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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