執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年5月30日 13時30分
関税交渉と金利政策—ユーロの底堅さとポンドの不透明感
ユーロ/円・ポンド/円、円高・米ドル安で値幅限定
ユーロ/円、ポンド/円は底堅い展開。本邦財務省による今年度の国債発行計画の見直し検討を背景に、債券の需給改善期待から円債金利の上昇一服に加え、米国際貿易裁判所によるトランプ関税の差し止め命令を受け、投資家心理が改善したことで、ユーロ/円は164.261円、ポンド/円は196.315円まで上昇しました。ただし、米ドルを中心に円買いの流れが強まったことで、ユーロ/円は163.30円付近、ポンド/円は193.70円付近まで押し戻されました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECBのハト派シフトは限定的?インフレ期待と市場の反応
来週、ECBは理事会を開催し、政策金利を発表します。市場予想では0.25%の利下げが見込まれ、政策金利である預金ファシリティ金利が2.00%へ引き下げられるとされています。また、物価見通しの低下と併せて金融政策のガイダンスもハト派寄りになるのではないかとみられています。
しかし、当局者は今後数カ月以内にインフレ率を目標の2%に戻せるとの見通しに自信を強めているほか、消費者調査による予想インフレ率は2カ月連続で上昇傾向を示しているため、ECBが大きくハト派に傾くとは考えにくく、ユーロに対する売り圧力は限定的ではないでしょうか。
さらに、米国への多額の投資の見返りとして、ドイツの自動車大手3社に対する関税緩和案を米国と協議していると報じられ、欧米の関税交渉進展が期待されています。こうした状況を踏まえ、ユーロは底堅い展開を予想しています。ただし、世界経済の不確実性が依然として高いため、上値も限定的と考えられます。
また、英国は目立ったイベントが少ない中で、企業景況感や金融政策メンバーの発言が市場の動意づけ要因となる可能性があり、注意が必要です。ただし、現在は英国独自の要因だけではポンド相場が動きにくい状況で、ポンド/円は方向性が見定めづらい展開になりそうです。
ポンド/円はダブルトップ形成の兆し?警戒すべきポイント(テクニカル分析)
ユーロ/円は、200日移動平均線や日足一目均衡表の雲を支えに、底堅い推移が続いています。ただし、164.00円レベルを推移する期間21日のボリンジャーバンド+1σ付近で上値が抑えられていることから、上昇の勢いがまだ十分でない可能性もあります。
今後、200日移動平均線が推移する161.49円レベルまで調整し、上昇の勢いを蓄える展開になるのではないかと考えています。162.00円割れでは押し目買いを検討したいと考えており、161.00円を割れた場合には買いポジションを決済し、様子を見極めたいです。
また、ポンド/円は右肩上がりのトレンドが継続しているように見受けられますが、上髭を伸ばし、前回の高値と並んだ後に失速したローソク足の形が気になります。この形状からは、ダブルトップを形成する兆しとも読み取れ、ネックラインとなる191.898円を意識した展開が強まるリスクがあります。
このレベルを下回ると、190.00円割れが視界に入る可能性があるため、今後の動向に注意が必要です。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:161.000-165.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:190.000-196.000
6/2 週のイベント:
一言コメント
いよいよ、小泉備蓄米がお店に並び始めますね。来週あたりは、全国各地で試食会と言った雰囲気なのでしょうね。
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